小動物が安全に住めるほ場に!!
2008年6月10日。晴天
この頃は水温が急速に上がり田んぼの中には様々な虫たちやザリガニ、オタマジャクシが活発に活動を始めるそんな折、田んぼの水回りをしている最中、めずらしい光景に足を止めました。近くの慣行水田におびただしい数のオタマジャクシ群がっていました。「慣行水田にこんなに・・・」と思い近づいてみると全て絶命していました。

「農薬か!!!」。ふと心配になり家の水田を見るとおびただしい数のオタマジャクシか元気に泳ぎ回っていていつもと変わらぬ光景でした。(こんな比較は好きでは無いのですが、ごめんなさい)

農家になって5年目。何を今更と思われるかも知れませんが、初めて見る現実に大きなショックを受けました。そういえば昨年の事、家族でとあるところに泊まりに行った時のこと、就寝時に何か変な気がしてよく考えてみるとカエル最盛期なのに田んぼの近くでカエルの鳴き声がしない(この県は農薬の使用量で全国トップクラスで、畦にも除草剤を散布します)。そんなエピソードとオーバーラップしました。

カエルは稲にとっての害虫を食べる有益動物ですので、悪循環になります。
慣行圃場は草1本も無く綺麗な圃場、そして虫食いのない綺麗な米。しかしその傍らで多くの生物にとって生命を維持することが出来ない水質。果たして米の生命力は?有機栽培の種籾は育苗時、根の張りが(生命力)がとても良いのです。命を繋ぐ大事な食材。手前味噌ではありますが、有機農産物の需要と供給の拡大を願ってやみません。

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絶命したオタマジャクシ。
かなりショックな映像ですので拡大する場合は
食事前はさけた方が無難です。

慣行農業の功罪
 数十年前から、人類はは急激な人口増加に対応して科学技術を駆使して農業の生産性を上げてきました。
日本について見れば飢餓を無くし、農家の重労働を軽減し、一定の成果をあげてきました。しかし、その反面多くの代償と引換えにしたのも事実です。農薬の多用により、多くの農家の人々の健康は損なわれ、農地や農産物にも農薬は蓄積されまた河川に流出して汚染し、微生物や小動物、魚に悪影響を及ぼし生態系に脅威を与えて来ました。
また、化学肥料のみによる栽培により農産物は本来の栄養価、風味を損ない、自分の力で(根で)養分吸収する能力が低下し、軟弱体質になりました。その結果、病気を抑える為農薬を使う悪循環が形成されました。現在、日本の農地の多くで腐植(土壌有機物)が減り、土壌微生物層が破壊され土の疲弊化が進んでいます。この状態が続くと健全な作物が育たなくなるばかりではなく、土の保水性、排水性も悪くなり多少の異常気象でも不作になってしまいます。
環境保護においては、まず一人一人の生活のあり方、選択のあり方が問われますが、農業においても、栽培においてどのような方法をとるかがその広大な面積ゆえ環境に与える影響が左右されます。

  カメムシ防除への疑問   
   斑点米(カメムシ吸汁米)が、米に混入すると見た目が悪くなり、米の等級も下がるため、一般栽培(減農薬栽培も含む)では収穫間近の8月にカメムシ防除と称して広大な面積で大量の農薬散布を行います。地域によっては複数回行われます。これに使われる殺虫剤は中枢神経に作用して麻痺させて駆除するタイプがおおいのですが、数年前にはこの影響で岩手や山形でミツバチが大量に絶命したとうことがありました。米に残留し人間に対する影響も指摘する医師もいます。
流通業者も含め、農業関係者は目に見えない危険性には寛容でも、目に見える安全の印には厳しいのです。

このカメムシ防除、一般農家にとっては当然やるべき栽培の一工程のようになっています。しかしこれは農業団体が作ったシステムの一部という考え方もできます。農業団体主導で強力に防除を押し進めます。しかしカメムシも耐性を持ち始め、散布しても斑点米が多く混じっていることもあります。

カメムシ防除の必要性について考える前に、虫の生態について簡単に説明いたしますと、カメムシは草むらや耕作放棄地、飼料用採草地で繁殖し、その一部が水田周辺にやってきます。そして畦の草に生息して草の子実から吸汁しています。、稲の穂より畦の雑草子実のほうが好きなのです。
しかし、農業団体の指導のように畦の草をまめに刈ってしまうと、しょうがなく水田の稲に入るのです。米がカメムシによって吸汁されるとその部分が黒く変色します。これが斑点米です。
カメムシが米を吸汁できる期間は穂が出てから穂の中の米が硬くなるまでの間です。この前後1週間ずつ水田にカメムシが入らないように工夫すればカメムシ問題は解決します。
その方法は、当農園でも数年前から行っていて実証している方法ですが、この吸汁可能期間、畦に雑草の子実を残しておく、そしてカメムシをそーっとしておくという方法です。
具体的には
穂が出る10日前〜穂が出た後40日間は絶対に畦の草を刈らない、畦に立ち入らない、それだけです。
しかし、皆は畦に草が生えてくると昔からの習慣で刈りたくなますが、そこをグッとこらえればいいのです。
当農園ではここ数年、この方法によりほとんどの水田で斑点米の比率は一等規定のレベルです。しかし中には比較的多めの比率の水田もありますが、これは一般圃場に隣接する水田で、隣の農家が畦の草を刈るので、カメムシか入ってくると推測されます。(当農園では全ての米を色彩選別しますので、お届けの米にはほとんど入りません)

このように、カメムシ対策は、農薬を散布しなくても十分対応できます。しかし、色々な事情で中には多く混じっている水田も出てくることと思いますがこの場合、玄米色選機で選別すればよいのです。最近の色選機の性能は非常に良くなっていて、高精度で高速に出来ますので、例えば農業団体が必要台数導入しても、農薬散布代より安く済むでしょう。

いずれ、万が一斑点米が僅かに米に入っていても食味、安全性に問題があるわけではありませんので、その僅かな可能性のために大量の農薬を散布することに疑問を感じます。


 
日本の有機農産物等作付け面積
 日本の全耕地面積は約500万fですが有機JAS認証圃場はその約0.15%≒7500f。都道府県認証(農薬、化学肥料不使用)を入れてもその割合は(データがありませんが)飛躍的には増えません。

ヨーロッパの有機農産物作付け面積
 有機耕地面積はEU全体で約340万f(2001年)。各国の作物全体に占める有機農産物比率は2001年時点でイタリア6.5%、ドイツ2.6%、フランス1.9%。各国とも数年から10年で比率を20%程度まで引き上げる計画。

有機農業推進法の成立
 日本では2006年12月、ツルネンマルテイ国会議員を座長とする超党派の議員連盟が提出していた法案「有機農業の推進に関する法律」(通称:有機農業推進法)が国会にて成立し、有機農業の拡大に弾みがつきました。地方公共団体の具体的な取り組みはまだまだこれからですが、少なくとも有機農業を推進する上での障壁は法的に取り除かれました。

有機農園ファーミンの現在と展望
 2004年の就農当初から、化学合成農薬・化学肥料は一切使わずに作物を生産しています。ご購入者様のニーズに支えられ、毎年栽培面積を拡大することが出来ています。農地は常時募集状態で地元の農業委員会にたまに打診しておりますがなかなか紹介してもらえず、やむなく新聞の折り込みチラシで募集し集積に成功しております。2004年に親の所有地60a(0.6ha)で始めた農業ですが、それ以降現在までに800a(8ha)の慣行ほ場を化学合成農薬・化学肥料不使用ほ場に転換させております。(2011年時点)

栽培の現状ですが毎年試行錯誤の連続です。これでいいというのはおそらく最後まで無いでしょう。収穫量対策では毎年一部で実験し、次の年に他の圃場に拡大して行く繰り返しです。
しかし、以前は難題であった雑草対策は自家製除草機の製作により、水田の80%で成功しており、残りの20%でも成功するよう毎年研究しております。これがうまくいきましたら、どのような水田でも抑草・除草が可能になります。
もうひとつの難題であった斑点米対策に関しては、前述の通り、ほぼ解決しております。

米の収穫量は単位面積あたり、現在同地区の慣行圃場の約70〜80%、就労時間は約2倍です。これを2〜3年以内に収穫量で90%程度まで引き上げる計画です。


有機農園ファーミン http://farmin.jp/