有機農園ファーミン http://farmin.jp/

このページは原発事故年の2011年時点での各種情報及び当農園の取った対応をお知らせするページです。古い情報になりますが、原発事故直後の初動対応が、その後の農地、農産物への影響と深く関係すると考え、ページを掲載し続けています。

2011年(原発事故直後)の放射性物質に関する情報収集及び
水稲栽培における対策
 →2012年に行った対策

 福島第一原発事故を受けまして、有機農園ファーミンでは農地の汚染状況を把握して各種のデータをご購入者様に提示し、2011年産米のご購入の判断材料としていただくことといたしました。
この事につきましても有機栽培での場合と同様に、当農園の農産物がどのようなものか、いかなる場合でも可能な限りお示ししたいという様に思っております。

4/4日に検査機関に依頼していました1回目の土壌検査結果の速報が4/8日に入り、基準値を大きく下回っていましたので、これを基に作付けの決定をいたしました。

当農園といたしましてはできるだけ客観的なデータを提示し、様々な資料からの引用、他データとの比較等を就農当初からのポリシーに基づき、生産者の立場に偏らず、ご購入者様の立場を常に意識しながら進めてまいりたいと思います。


以下、汚染状況の認識、確認方法と栽培的な対応ですが、常に新しい情報に基づいて内容は更新してまいりたいと思っています
                                                      2011年4月 記
                                          2011年11月、経過をもとに一部変更
                                              

位置情報
福島第一原発からの直線距離 北に約145km  

2010年産米について
 現在お届けしています2010年産米は昨年収穫されたもので、事故発生以前より倉庫で保管していること、宮城県内のモニタリングポストの数値からの類推により米への影響は無視できるものと考えます。

2011年産以降の当農園の水田及び米の放射性物質の自主検査について
 当農園水田の土壌及び収穫後の米に含まれる放射性物質の測定を行い提示いたします。今年も予約販売は行う予定ですが、収穫後の米の測定値が出てから正式販売する予定です。

  →水田土壌、稲体、玄米の放射性物質濃度
 
灌漑用水について
 
水田を常に水で満たしておく水稲では、土壌の放射性物質とともに灌漑用水の放射性物質のレベルも重要です。
当農園の全ての水田は北上川から取水しています。源流は岩手県です。
放射性物質について、北上川そのもののデータは見つからなかったのですが、水道水の測定結果がありました。
この水道水は活性炭処理をしていないため、水源の北上川のレベルと大きな違いはないものと考えられます。
水田に入水前の5/19の検査以降「不検出」です。検出下限値は1Bqですので、多くても1Bq未満ということになります。
 →登米市水道事業所の放射能測定の結果(7/29まで)

専門機関における土壌、作物(米)、放射性物質等の研究と考察
 この事につきましては原発事故以前より長期にわたって研究をしている「独立行政法人 農業環境技術研究所」等にリンクいたします。

 →「土の中の放射能:自然放射性物質と人工放射性物質」(農環研)
 上記のページの下部にも有用な情報へのリンクがあります。
 ※「主要穀類および農耕地土壌のSrとCsの分析データ」は上記のリンクページ下部にリンクがあります。

 →土壌肥料学会のデータ
 上記によりますと土壌1kgから精米1kgへのセシウム137(セシウム134は不明)の移行係数は高い数値で0.012(1.2%)となっております。更に、精米は玄米より30
〜50%低くなるということですので玄米では1.43倍から2倍となります。これはCs137だけですので、仮にCs134も同量あって移行係数も同じであれば1kgの玄米への移行係数はCs134+Cs137は高い数値で0.048となります。
尚、次項目の農水省のデータでは玄米への移行係数(Cs134+Cs137)は0.1となっております。

4/8日発表の農水省主導の宮城県内の土壌データについて
 
→2011年4月1日時点での宮城県内に土壌の放射性物質(4/8発表)
 
当地域は登米市です

8/16日発表の登米市検査の稲体(米の入っていない稲全体)と土壌の測定結果について
 
→登米市が独自に行った、収穫前の稲体と水田土壌の検査結果
 
当農園でも8/23に登米市と同様の稲体検査をしておりますのでご参照ください。
  
      →2011年8月23日〜、当農園の稲体の放射性物質

宮城県をむ放射線モニタリング

 →全国のモニタリングデータ
 →文科省による航空機モニタリング結果

自宅前での放射線携帯測定器の値
 
公的なモニタリングデータは地上十数メートルでの測定値ですので実際の生活、栽培環境との差異が生じます(測定位置が高い程低くなります)。
5月始めより自宅前の放射線量をガイガーカウンター(RADEX1503)で測定していますが地上高1mで概ね0.10〜0.15μS/h(ガンマ線量:自然放射線量を含む)の値が出ています。3月11日以降、耕起していない土表面では0.20μS/h程、3月11日以降草刈をしていない雑草の上で0.22μS/h程です。(6月中旬時点)


栽培方法での対応

 放射性物質の除去を個人では出来ませんが、栽培方法を研究してできる限り安全性を確保する努力は出来ると思います。
栽培での放射性物質に対する技術的情報は公的機関からはほとんどありませんが、自分で考えられる汚染防止対策を行います。しかし、これがどれほど効果があるのか未知数の部分が多いため、確かなところは収穫後の米の検査まで分かりません。
以下現時点で当農園が考えている対策ですが、常に情報収集、分析を行い栽培方法も更新してまいります。
尚、農薬・化学肥料は従来通り使用いたしません。


耕起、田植え時期を可能な限り遅くします
 土壌からよりも葉面からの直接摂取の方が取り込みやすいので、降下量の減少をギリギリまで待ってから田植えを行う考えです。今のところ6月上旬の田植えを予定していますので、販売開始がやや遅くなってしまうかもしてません。

浅耕起、深植えをします  
 放射性物質を地中深く埋め込まないよう、浅く耕起、代掻きをします。その上で苗を深く植えます。これは稲の根が出来るだけ下層の土から養分を吸収できるようにする為です。

従来通りEMを使用します
 EMによ、りセシウムやストロンチウムを土壌や植物に吸収する量を減少させる効果を期待します。
※8/24追記。
 EMの開発者、比嘉照夫教授のEMプロジェクトでは試行後2ヶ月で、光合成細菌を強化したEM活性液で飯舘村や福島各地で放射能レベルを下げるのに成功しています。

→第48回 福島県におけるEMによる放射能対策の成果

従来通り光合成細菌を使用します
 
光合成細菌は放射能を軽減させるという研究があります。まだ研究途上ですが当農園でも常用している光合成細菌を使用して、効果を実証できればいいと思っています。

敢えて機械除草を行いません
(多発が予測される水田では回数を抑えて行います)
 雑草は稲より生育スピードが速く 、根圏が浅いので放射性物質を吸収し汚染を軽減し米への移行を抑えることを期待します。(※7/21記:雑草が多発したため、ほとんどの水田で1回〜2回の機械除草をいたしました)

天然カリウム資材を散布します
 植物の必須要素であるカリウムが土壌に十分あると化学性が似ているセシウムでも土壌から取り込みにくくするという研究がございますので、カリウム不足にならない様に全ほ場に土壌散布します。具体的には有機資材の「パームアッシュ」を12.5kg/10a(カリウム成分3.7kg)を散布します。

天然カルシウム資材を散布します
 カルシウムもカリウム同様に土壌に十分あるとストロンチウムを取り込みにくくするという情報がございますのでカルシウム不足にならない様に全ほ場に土壌散布します。具体的には有機資材の「カキガラ石灰」を20kg/10aを散布します。

上記の作業内容は「フォトピックス」、「栽培履歴」で確認できるようにいたします。
また、ご質問・ご意見はoffice@farmin.jpまでお願いいたします。