有機農園ファーミン
〒987-0611宮城県
登米市中田町浅水
字西川面195
tel: 0220-34-7113
fax: 0220-34-5610
mail: office@farmin.jp
代表:及川正喜
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土壌及び稲体、玄米中の放射性物質を検査機関で自主検査しています
有機農園ファーミンでは、2011年4月8日より土壌、稲体、玄米中の放射性物質を測定し、ご購入者様に情報提供を行っております。
放射性物質は日本各地に拡散し、農産物の放射能汚染は大なり小なり避けることは出来ません。ですので、測定にあたりましては、ご購入者様の健康に関わる大事な情報ですので、出来るだけ明確なデータを提示することを目的に、検出限界値が低い(少量でも検出できる)検査機関を選定して検査しております。
測定方法は高精度のゲルマニウム半導体γ線スペクトロメトリー方法で測定し、玄米検査では測定量、測定時間もそれぞれ2000ml、2000秒と微量検出を可能にする数量で行いました(測定量、測定時間とも、より多い方が微量検出が可能になります)。
10月6日の「玄米本検査」では水田別の検査グループA〜Dにおいて放射性セシウム134が 1.0〜1.3 Bq/1kg、放射性セシウム137が 1.3〜1.7 Bq/1kg、合計で 2.3〜2.9
Bq/1kgでした(詳細は表1に記載)。この数値の評価についてはご購入者様一人一人のご判断によりますが、当農園では、相対的に非常に低いレベルと判断いたしまして2011年産米の販売を行っています。判断基準は表3の計算を参考にしました。
また精米に関しましては、いろいろな最新情報を総合すると玄米の20〜40%くらいが精米の数値のようですが、当農園でも実際のところを知りたくて2012年1月13日に「精米検査」を行いました。検査結果は放射性セシウム134、137とも検出下限値0.6Bqで「不検出」(不検出とは検出下限値未満ということです)でした。これは各情報に整合する結果といえます。
これらの検査データは有機農園ファーミンの水田のみにおいて測定したものです。検査試料は位置、地形、栽培方法、使用資材、土質、用水等様々な要素によって異なりますので、当地域の他水田とは関連づけられません。この地域の水田は宮城県による玄米の放射能濃度検査では、「不検出」(定量下限値134Cs,137Cs各20Bq/kg)となっています。
表1 2011年産米 本検査の結果 →本検査の方法について
検査試料 |
玄米(本検査)
グループA |
玄米(本検査)
グループB |
玄米(本検査)
グループC |
玄米(本検査)
グループD |
精米検査 |
採取日 |
2011年9月28日 |
2011年9月28日 |
2011年9月28日 |
2011年9月28日 |
2012年1月10日
精米 |
採取場所 |
登米市中田町 |
登米市中田町 |
登米市中田町 |
登米市中田町 |
登米市中田町 |
検査日 |
2011年10月7日 |
2011年10月7日 |
2011年10月7日 |
2011年10月7日 |
2012年1月13日 |
検査機関 |
(財)宮城県公衆衛生協会 |
(財)宮城県公衆衛生協会 |
(財)宮城県公衆衛生協会 |
(財)宮城県公衆衛生協会 |
(財)宮城県公衆衛生協会 |
検査法 |
ゲルマニウム半導体検出器によるガンマー線スペクトロメトリー分析法 |
測定量/測定時間 |
2000ml /2000秒 |
2000ml /2000秒 |
2000ml /2000秒 |
2000ml /2000秒 |
2000ml /2000秒 |
放射性ヨウ素 I-131 |
検出せず |
検出せず |
検出せず |
検出せず |
検出せず |
検出下限値 |
(0.7Bq) |
(0.7Bq) |
(0.7Bq) |
(0.8Bq) |
(0.6Bq) |
放射性セシウムCs-134 |
1.2 Bq/1kg |
1.0 Bq/1kg |
1.2 Bq/1kg |
1.3 Bq/1kg |
検出せず
(0.6Bq/1kg未満) |
検出下限値 |
(0.6Bq) |
(0.6Bq) |
(0.7Bq) |
(0.6Bq) |
(0.6Bq) |
放射性セシウムCs-137 |
1.4 Bq/1kg |
1.3 Bq/1kg |
1.7 Bq/1kg |
1.4 Bq/1kg |
検出せず (0.6Bq/1kg未満) |
検出下限値 |
(0.7Bq) |
(0.6Bq) |
(0.6Bq) |
(0.6Bq) |
(0.6Bq) |
放射性セシウムCs-134 +
Cs-137 |
2.6 Bq/1kg |
2.3 Bq/1kg |
2.9 Bq/1kg |
2.7 Bq/1kg |
検出せず
(1.2Bq/1kg未満) |
検査証 |
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備考 |
精米検査はササニシキ、ひとめぼれ、たきたてを同量ブレンド。精米度合いは上白精米 |
表2 本検査前の各種検査結果
検査試料 |
田の土壌 |
田の土壌 |
稲体 |
玄米(早期検査) |
採取日 |
2011年4月4日 |
2011年5月7日 |
2011年8月23日 |
2011年9月13日 |
採取場所 |
登米市中田町浅水 |
登米市中田町宝江 |
登米市中田町宝江 |
登米市中田町宝江他 |
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→採取の詳細 |
検査日 |
2011年4月8日 |
2011年5月10日 |
2011年8月23日 |
2011年9月21日 |
検査機関 |
食環境衛生研究所 |
同位体研究所 |
(財)宮城県公衆衛生協会 |
(財)宮城県公衆衛生協会 |
検査法 |
ゲルマニウム半導体検出器によるガンマー線スペクトロメトリー分析法 |
測定時間 |
不明 |
900秒 |
2000秒 |
2000秒 |
放射性ヨウ素 I-131 |
137 Bq/1kg |
10 Bq/1kg以下 |
検出せず |
検出せず |
検出限界値 |
(10Bq) |
(事実上10Bq) |
(1.2Bq) |
(0.7Bq) |
放射性セシウムCs-134 |
66 Bq/1kg |
39 Bq/1kg |
2.8 Bq/1kg |
1.2 Bq/1kg |
検出限界値 |
(10Bq) |
(事実上10Bq) |
(1.5Bq) |
(0.7Bq) |
放射性セシウムCs-137 |
76 Bq/1kg |
10 Bq/1kg以下 |
2.0 Bq/1kg |
2.0 Bq/1kg |
検出限界値 |
(10Bq) |
(事実上10Bq) |
(1.7Bq) |
(0.6Bq) |
放射性セシウムCs-134 + Cs-137 |
142 Bq/1kg |
49 Bq/1kg以下 |
4.8 Bq/1kg |
3.2 Bq/1kg |
検査証 |
検査証 |
検査証 |
検査証 |
検査証(Fax) |
備考 |
事故後、未耕起の田の表面から15cm深までの土 |
事故後、未耕起の田の表面から15cm深までの土 。
※7後述参照 |
この場合の稲体とは、栽培中の、まだ緑色の稲の根以外の全部で、穂が出ているが米がまだ入っていない状態 |
早期検査。4箇所の水田から均等採取。 |
玄米の早期検査と本検査の結果について
9月21日の玄米早期検査に比べ、10月6日の本検査ではグループA〜Dの全てで、放射性セシウムの数値が小さくなっています。これは、玄米の生育段階の違いによるものと推測いたします。
米中の放射性セシウムは白米部分よりも米糠部分に集まりやすいという研究結果がございます。米は、稲の出穂時に先ず玄米の表皮部分(米糠部分)が作られ、次に白米となる白い液体がその中に充填されてゆき、やがて固化します。ですので、早期検査では玄米がまだ十分に膨らんでいない段階のため、相対的に米糠部分が多くなります。本検査では生育が進み、放射性セシウムの存在割合の少ない白米の部分が増えるため、数値も低くなるということだと思われます。
食品中の放射性物質は、いくらまでが安全ということはなく、可能な限り少ない方が良いに決まっています。
原発事故後いろいろと話題になっている数値と比較してみました。
表3
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Cs-134とCs-137の合計値 |
左記の数値の食品を、1年間食べ続けた時のCs-134 + Cs-137の預託実効線量※3 |
ICRP係数で計算※4 |
ECRR係数で計算※5 |
2〜17歳※6 |
17歳以上 |
2〜14歳 |
14歳以上 |
食品衛生法の暫定規制値(穀類) |
500Bq/kg |
3648
μSv/y |
4380
μSv/y |
23269
μSv/y |
11634
μSv/y |
多くの県での公的検査で、検出下限値ギリギリ不検出の玄米 |
38Bq/kg |
277
μSv/y |
333
μSv/y |
1768
μSv/y |
884
μSv/y |
ドイツ放射線防護協会提言の上限値(飲食物)※2 |
成人16Bq/kg、
子供8Bq/kg |
約58
μSv/y |
約140
μSv/y |
約372
μSv/y |
約372
μSv/y |
当農園の玄米と同程度の食品を1日1.5kgを食べ続けた場合 |
2.3〜2.9 Bq/kg |
16〜21
μSv/y |
20〜24
μSv/y |
115〜147
μSv/y |
58〜74
μSv/y |
参考(玄米分だけで計算) |
玄米分のみ(200g/1日)の預託実効線量→ |
2.1〜2.7
μSv/y |
2.6〜3.3
μSv/y |
15〜20
μSv/y |
8〜10
μSv/y |
当農園の精米と同程度の食品を1日1.5kgを食べ続けた場合 |
不検出=
(0.6Bq/kg未満 + 0.6 Bq/kg未満) |
8.4
μSv/y未満 |
10.5
μSv/y未満 |
60
μSv/y未満 |
31
μSv/y未満 |
参考(精米分だけで計算) |
精米分のみ(200g/1日)の預託実効線量→ |
1.1
μSv/y未満 |
1.4
μSv/y未満 |
7.9
μSv/y未満 |
4.3
μSv/y未満 |
Cs-134,137に関する数値のみ記載(I-131は不検出、ストロンチウムその他の核種は測定していないため)
※2)提言ではCs-137で成人8Bq/kg、子供4Bq/kgのため、Cs-134も同量存在するものとして数値を2倍にして計算
※3)預託実効線量は表中のCs-134とCs-137の合計値の食品を毎日1.5kg(参考欄は200g)1年間食べ続けたとしてとして計算した数値。また、Cs-134と137の比率は、当農園の玄米及び精米は0.6:1、その他は1:1(一般的な存在割合)で計算。
※4)ICRP(国際放射線防護委員会)係数:現在の国際基準であるが古いデータに基づく保守的な係数。どちらかといえば原発推進の立場。
※5)ECRR(:欧州放射線リスク委員会)係数:最も内部被曝を重大に評価している係数だが、科学的根拠が乏しいという指摘もあります。反原発の立場。
※6)細分化されている年齢別データを平均して計算
素人計算ですので、もし間違いがありましたらご指摘ください。
参考
文部科学省発表(2011年11月11日換算)の、東日本の地表面における放射性セシウム134と137の沈着量の合計と当農園の位置関係マップ(左)と、
文部科学省発表(2011年11月1日換算)の、東日本の地表面1m高さの空間線量率と当農園の位置関係マップ(右) |
土壌沈着量
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空間線量率
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2011年5月7日採取分の土壌中の放射性セシウムの大幅な減少についての推測
5/7日採取分の検査結果では、4/4日採取分に比べて、放射性セシウムが大幅な減少でした。採取ほ場は違いますが(2km離れています)立地的には地続きの平地で近くに山は無く、降下量にこれほどの違いが出るとは思われません。また、検査機関は違いますが検査機械の種類、検査方法は一緒ですので、これはなぜかといろいろと考えた結果、素人発想ではありますが気候が大きく関わっているのではないかと想像しました。
4月中旬から5月上旬までは概して晴れが続き、土壌が非常に乾燥していました。そこにきてこの時期としては異例の西からの強風が連日吹きました(風速10m以上だけでも12日)。この事が重なり、3月に大部分が降下したと思われる地表の放射性物質が乾土とともに海側に飛ばされたのではないかと推測します。
※7)後述
5/7日採取土壌の検査結果について
セシウムCs-134とセシウムCs-137の検出比率が著しくバランスを欠いている事に気づきました。4/4日採取の土壌及び玄米A〜D、また農水省開示の各地の土壌中セシウム濃度を総合的に見てみますと、事故後間もなくのCs-134とCs-137の比率はCs-137の方がCs-134よりやや多い程度です。
ところが5/7日採取の土壌ではCs-134が39Bq(1kg中)に対しCs-137が10Bq以下となっています。しかしCs-134だけ多く降下したとは考えにくく、存在するが測定上の何らかの原因でCs-137が検出されにくかったと考える方が自然です。
もし、他の検査結果に準じるとすればCs-137は39Bgよりやや多い位と考えられますので、実際にはCs-134 + Cs-137は78Bqよりやや多い位ではなかったかと推測します。
検出限界(下限)値について
現在、関東、東北の県や市の検査による玄米の放射性セシウムのデータが出ていますが、ほとんどが「検出せず」で、農水省が指定した17都県の定量下限値のほとんどはCs-134、Cs-137それぞれ20Bq(600秒測定)です。
当農園の方針といたしましては、これら行政の検査では不十分と考え、出来るだけ詳細に検査して数値化しております。
→原発事故発生後からの、当農園の栽培での対策と各種情報 |
有機農園ファーミン http://farmin.jp/ |
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